地震が起きたとき気をつけなければならないのが、家具の移動や転倒によるケガです。

東京消防庁によれば地震発生時の家具の移動・転倒・落下によるケガの割合は、全体の30%～50％を占めるそうです。

このようなケガを防ぐために効果的なのが、造作家具の導入です。

ここでは、造作家具の基礎知識と地震対策に効果的な理由、自分でできる対策をご紹介します。

 

造作家具はオーダーメイドの造り付け家具

造作家具とは造り付けの家具のことで、オーダー家具ともいいます。

好みの素材やサイズ、デザインでつくれるのがメリットです。

造作家具はキッチン収納棚、食器棚、キッチンカウンター、本棚、洗面所収納棚、デスク、テレビボードなど多岐にわたります。

 

造作家具には大工さんが現場でつくる「大工工事」と、工場でつくった家具を搬入して現場で組み立て取り付ける「家具工事」があります。

造作家具は市販の家具より価格が高く、キッチンの背面収納棚で30万～80万円ほど。

使用する素材やサイズ、デザインによって価格も大きく変わります。

 

造作家具が地震対策に効果的といわれる理由

それでは、造作家具はなぜ地震対策に有効だとされるのでしょうか？

その理由をあげてみましょう。

 

■壁にしっかり固定されている

造作家具は壁に直接取り付ける造り付け家具です。

しっかり壁に固定されているため、地震の揺れによる移動や転倒、落下の心配がありません。

大きな地震に多い家具の転倒などによるケガを防ぐことができるのです。

 

突っ張り棒タイプの家具転倒防止グッズもありますが、横揺れに弱く効果が期待できないことも…。

造作家具は壁の下地にビスでしっかり固定しているので、安心です。

 

■隙間ができない

造作家具は設置場所に合わせたサイズでつくるため、隙間ができません。

天井の梁で壁との間に隙間ができるときは、フィラーで隙間を埋めることで転倒を防止することが可能です。

 

■扉付き・引き出し式収納が選べる

地震による被害を防ぐためには、ものが落下しやすいオープン収納よりも扉付きや引き出し式収納の方が向いています。

引き出しはゆっくり閉まる「ソフトクローズ」タイプを選ぶと、地震のときに引き出しが飛び出すのを防ぐことができます。

地震で揺れると扉をロックしてくれる「耐震ラッチ」や、ガラスが割れて飛び散るのを防ぐ「飛散防止フィルム」が装備してあるとさらに安心です。

 

ただし扉をつけると価格が高くなるケースが多いので、収納するものや場所によって扉の有無を使い分けるといいかもしれません。

たとえばタオルや衣類のように落ちても壊れないものの収納には扉をつけず、食器やビン類など割れ物が多い場所の収納は扉付きにします。

 

自分でできる地震対策も取り入れよう！

手軽にできる地震対策をご紹介します。

 

■市販のグッズで家電の転倒防止

地震による家電の転倒・落下防止には、市販のグッズを利用しましょう。

転倒防止ベルトや耐震マット、耐震ジェルなど色々ありますが、震度7対応のグッズがおすすめです。

 

■食器収納にはすべり止めシート

造作家具なら転倒する心配はありませんが、中で食器が割れる危険性はあります。

そのリスクを低減してくれるのがすべり止めシート。

とくに引き出し式収納は、すべり止めシートを敷くことで開け閉めの際に食器が動いてぶつかるのを防いてくれます。

 

■開き戸に耐震ラッチをつける

開き戸タイプの家具には、耐震ラッチを取り付けましょう。

地震のときに扉が開き、中のものが飛び出すのを防ぐことができます。

 

■ガラス瓶の調味料はプラスチックケースを利用

ガラス瓶に入った調味料など割れる可能性があるものは、プラスチックケースに入れておくと、万が一割れたときもケースの中だけで済むので後始末がラクです。

 

■壁付けオープンシェルフはガードレール付きを選ぶ

オープンシェルフは耐震性が期待できないためおすすめできませんが、利用する場合はガードレール付きを選びましょう。

そして万が一落ちても困らないように、ガラスや陶器などの割れ物は避けた方が無難です。

 

■本棚は設置場所をよく考える

地震の揺れで落ちた本があたってケガをしたり、下敷きになったりしないように、本棚は普段人がいない場所に設置しましょう。

ソファやベッド、通り道の近くに設置するのは危険です。

 

まとめ

造作家具は造り付けのオーダーメイド家具。

壁にしっかり固定してあるため、地震による家具の転倒・移動・落下の防止に最適です。

多少値段は張りますが、希望通りのデザインやサイズでの制作が可能で、地震対策にも効果的なことを考えるとそれだけの価値があるかもしれません。

 

リフォームを機に、造作家具の導入などの地震対策をいま一度考えてみましょう。

 

2022.12.02　アールデザインラボ株式会社　根立洋平

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